開放型でモニター系ヘッドホンのAKG K712 Proを買ったけど、音がボロボロで実は速攻返品しようと思った話やその後の驚く変化とか

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5年ぶりに開放型ヘッドホンを購入した。
買ったのは以前Philips Fidelio X1買うためヘッドホンを物色している時にも視聴してたAKGのになるんだけど、おそらく以前はK701系(グリーンのクインシージョーンズモデル)とかK702を聴いて、その時の印象としてはあまりにもスタジオライクなモニターヘッドホンに感じたので、その時はウォームなリスニング用ヘッドホンを探していたボクには合わずにAKGは候補から外れていった。
ただ解像感はさすがだなぁって印象はあった。

んで、今回前にも書いたようにiPad ProでMojoを使えるようになって、久しぶりにヘッドホンが欲しくなり、どうせなら現在常用しているPhilips FidelioX1とは違う性格のがいいなってことで少しモニターよりのヘッドホンを探してたところ、そう言えばAKGはモニター系だよねって思ってあちこちレビューも参考にしながらAKG K712 PROを購入した。

オレンジカラーがかっこいいんだけど、ジャイアンツっぽいって噂もあって、確かにとなった笑

型番号から行くとAKGでの位置付けはモニター系の700番台シリーズの最上位機種ってとこかなと思う。
これより上位のモデルとしては型番の違うK812ってフラッグシップモデルがあるんだけど、価格が10万越えするのでそれならAKG以外に別の選択肢も考えられるわけで今回はK712 PROに落ち着いた。

まずバクっとしたここまでの印象だけど、Philips Fidelioは甘くてAKGは辛いって感じがありとっかえひっかえして聴いている。
甘いもの食べたら辛いものが欲しくなるのと同じで、それはヘッドホンにも当てはまり、永遠にそれを繰り返しできちゃうって人間の真理だし 笑

両方ともカッコいいし付けやすいと思う

そもそもの要望としては女性ボーカルをキレイに聴きたかったてのがあった。
Philips Fidelioも女性ボーカルがダメってわけじゃないんだけど、女性特有のもう少し艶やかで伸びやかな感じが味わいたいかなぁって感じだった。

■ここからはK712 PROの印象について思うままに書いておこうと思う。

・ヘッドバンドはセルフアジャストになってて楽ちん。

これはPhilips Fidelioと同じで頭に乗っけるだけで調整要らずなのはとても楽だ。
この機構を使うとコンパクトにはならないって欠点はあるけど家で使うのなら無問題。
開放型のヘッドホンを外で使おうって強者はいないだろうし。

重さは手元の測りで299g(ケーブル抜き)でPhilips Fidelioの365g(ケーブル抜き)からはかなり軽くなっている。
着け心地を比べると側圧はK712 PROの方が若干キツく感じるが、さすがにPhilips Fidelioは5年も経過しているのでユルユルなのかも知れないし判断は難しいんだけど、比べると少しキツイだけでK712 PRO単体だと言うほど圧迫感があるわけではなく、低反発なイヤーパッドと合わさって着け心地としては快適そのものだから、5、6時間くらい連続で聴いていても問題はない。
K712 PROに限らず、一般的に開放型のヘッドホンは側圧ユルめなので密閉型では疲れる事はあっても開放型で疲れることはないと思う。
ちなみに上部のベルト部分は本革製になる。

本革製になってるし刻印もイケてると思う

・情緒的な曲はPhilips Fidelioで聴きたくなる。

これはその時の気分にもよるんだろうけどしっとりした気怠い夜なんかはPhilips Fidelioのが合うかな。
逆に元気いっぱいな昼間とか気分がハイな夜なんかだとK712 PROを使いたくなる感じがする。
音の雰囲気としてはこれが合ってると思う。

・演奏楽器がPhilips Fidelioより少し下がって(離れて)感じる。
・ボーカルは少しだけ離れる感じ。

コンサートホールの様な広大な世界が広がるわけじゃないけど、比べると開放型らしく抜けも良くなって音場が広くなったのは確かでJAZZのセッションやライブステージなんかだとK712 PROの本領が発揮されると思う。

ロゴもなんか誇らしいね

・高音が煌びやかになったのは確か。
・女性ボーカルの伸びが鮮やかになった。

これらの印象は期待値通りの変容でPhilips Fidelioに比べると、より開放らしいヘッドホンでよかった。
K712 PROってモニター系のヘッドフォンだけど、ならば以前のbeyerdynamicT5p 2nd Generationとかの突き抜けてる方が良いのかな?って買う前は悩んだ。
T5p 2nd Generationは特別なヘッドホンだしPhilips Fidelioから変貌するって考えだと間違いない選択な気がするからだけど、でもあそこまでモニターちっくなのだと聴き疲れが心配になってくるので家にずっといる生活になっている今ならK712 PROの様なリスニング系モニタリングヘッドホンのが理想的だったなって気がしている。
3nd Generationでかなり聴きやすく変わったって聞いてるのでそれはそれで機会があれば聴いてみたいと思う。

ただ、K712 PROはリンスニングにも配慮しちゃったから突き抜けた感がないのは確かで、ちょっと中途半端なのかなって気もするのと、もしも5年前に最初にこれ聴いてたらどうだったかな?
買ってたかな?
Philips Fidelioと同時視聴してたらこっち選んだかな?
って疑問符が頭に浮かんでくる。
まぁ、それは謎だけど、、、
冷静に考えると間違いないのはモニターヘッドフォンでもリスニングに使えるのは優秀だと思うし、いい感じに刺さらない程度に高音の伸びを聴かせてくれるのはコンシューマー用途としてはとても良くできていると思う。

そうそう、ヨーロッパ製なんだけど、オーストリアじゃなくてお隣のスロバキア製なんだよね

・解像度はいい、かなりいい部類だと思う。

ただし、それぞれの楽器を聴かせようとしてるのは分かるし、よく聞こえるんだけどT5p 2nd Generationほどじゃない
アレには「なんだコレは!」って驚いたけど、これは「ハッ!」とするくらいで驚きはない
リスニング要素に振ってるからしょうがないしボクの用途としてはこのチューニングで大正解。
表現は難しいけど、Philips Fidelioはウォーム優先である程度の解像感もある完全なリスニングヘッドフォン。
このK712 PROはPhilips Fidelioほどではないにしろ低音成分も十二分にあるし、音の粒を楽しめるし音楽としてゆったりリスニングする楽しみ方もできるオールインワンなヘッドホン、、、かな。

・Philips Fidelioに比べたら音は取りにくい。

能率感度は100越えだしインピーダンスも極端には高くはないけれど、やっぱボリュームだと5、6段は違う感じ。
プレイヤー直刺しでも鳴るんだろうけど結局アンプないとダメかも的に音は取りにくい。

・エイジングは必要

正直な話をしておくけど、最初に数分聴いた直後は低音域も高音域も全く出てなくて「Amazonの返品ってどうやってするんだっけかなぁ」って考えた。
本気で「失敗したー」って思ったんだよね。
でも2、3時間聴いてみて、「差別化ができるなら今のところモニター系のヘッドホンとして置いておいても良いかな」って気がしてきて、10時間は軽く超えてきたら「いやこれ良いわ!」ってなって、20時間は越えようかという頃には「探してたのはこのヘッドホンだった」とか勝手な事を言うまでになった。
なので、自分の耳へのエイジングもあるけど、K712 PROは数時間は鳴らしてから評価した方が良いと思う。

ハウジングはK712 PROのが少し大きいし耳もすっぽり入る

・Philips Fidelioと比べると全く刺さらないってわけじゃない。

二十数時間は聴いてて今のところある曲の1フレーズだけ耳に刺さりそうな音が出た事があった。
逆に言うと、Philips Fidelioは絶対に刺さったことがないので、ある程度満足感がある高域を出しながらも不快な思いをさせない辺りはPhilips Fidelioがかなり優秀ってことかな。

・低音の成分はフィリップスの勝ち。

Philips Fidelioのウォーム感は半端ないね、やっぱ。
K712 PROはどこまで行っても素性は伝統のあるモニターヘッドホンかな。
リスニングの皮を被ってても、家柄や育ちが出ちゃうって感じがする。

例えばT5p 2nd Generationだといくら音探しが楽しいからって、長時間聴いてるのは疲れるんだよね。
でもK712 PROなら長い時間でも音の粒探しも楽しめる。
そう言う意味だと優秀なモニターヘッドホン
Philips Fidelioじゃ絶対に聴き逃してた音が手に取るように見えるのは優秀。
さすがAKG。

・原音に忠実で生楽器の音はそのまま出る感じ。

生々しい音がするのでアコースティックギターとかはとても綺麗に鳴る。
低音成分の違いからかPhillipsのが深みってか奥行きが感じられるかな。

・せっかくの開放型なので音場の広さはもう少し欲しかった。

もちろんPhilips Fidelioより広いけど、ここまで来たらもっともっと!って要求したくなる。
値段を考えたらこれ以上のものはないと思うけれど。

・太鼓の音はタイト。

Philips Fidelioと比べると成分は少ないけど低音の締まりは良いと思うし沈み込みも十分ある。
とにかくモニターヘッドフォンとして一音ずつ聴いていくとイイ感じで、ある意味ではモニターらしくとてもあっさり聴かせる。
Philips Fidelioと比べると情緒感は少ない。

羽のように軽いって意味のアイコンなんかな?確かに軽いけど

・聴こえてなかった音が聴こえてくる。

Philips Fidelioで全て聞こえてる気がしてたけど、まだ聴こえてないコーラスとか楽器とか、後ろで小さく鳴ってる波の音とかがあったんだなと思った。
いや、もちろん聴いていたんだろうけど、輪郭がハッキリしているので目立つし聴き取りやすいって事だろう。

■総評

AKG K712 Proは音の粒立ちも良く管楽器や女性ボーカルなどの高域の伸びも優秀で、かと言ってノリに繋がる低音の成分も十分で、もちろんこれより上のヘッドホンは数知れずあるけれど常時使用できるリスニングヘッドホンとしてコスパも含めると100点満点なんじゃないかなと、今のところボクの中ではこんな評価になっている。
ちなみにお値段だけどボクはAmazonで33000円程度で購入した。

■最後に

いつも利便性を追求してるデジタル好きなボクとしてはApple製品も好きだしAirPods Maxも考えなくもなかったけど、今回の趣旨は好きな音で聴くことだけに“マト“を絞ったので、音響製品じゃないあくまでもガジェット製品であるAirPods Maxは除外とした。
それにワイヤレスヘッドホン買うならMomentum Wireless3とかのが音は確かそうだし、音で選ぶならワイヤレスより有線だしね。
てな感じで今回はK712 PROに落ち着いたわけ。
まぁ、音楽も聴けるガジェット製品として買うならAirPods Maxもありなんだろうな。
デザインとかは嫌いじゃないし。

さて、今もK712 PROから流れてくる色んなビートを感じながらこれを書いているんだけど、脳内がとても気持ちよくて仕事終わりの気分転換にはもってこいな時間だなぁと、買ってよかったなぁとしみじみ思う。
新しいヘッドホンを手にすると今までに聴いてた音楽を全て聴きたくなってくるのが常なんだけど、まさに今はそんな状態。
せっかくなんで今K712 PROから流れてくる曲も貼って今回のAKG話はこれで終わりにしようと思う。

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